海外派遣研修事業

ホーム > アーカイブス > 海外派遣研修事業

本研修事業は、諸外国の芸術文化の実情を調査、研究し、その成果を芸術文化活動に反映させ、国際的視野に立った見識を高めると共に、資質の向上を図ることを目的としています。

平成30年度実施実績

  • 研修者名:久多良木 則子
  • 期 間:平成30年8月25日〜9月28日
  • 滞 在 国:オーストリア・ドイツ
  • 推薦団体:大分交響楽団
  • 研修内容:オーストリアやドイツの古典派の楽曲を美しく表現する為に、作曲家の出生地でメッセージを汲み取った表現や特殊楽器を研究し、自己の奏法に活かす
  • 研修報告:

ウィーン国際音楽ゼミナール(8/27~9/7)

クルト・シュミット教授
♪1st レッスン(8/28)9時~10時
 先生は、「Hello!」と明るく、私ともう一人の生徒さんの待つレッスン室へ入って見えた。テーマ「ウィーンの古典曲」の、W..A.モーツァルト作曲、クラリネット協奏曲イ長調KV622、1楽章を展開部の前までピアノ伴奏で吹いた。主題についていろいろ聞かれた。dolceやテンポのAllegroの意味は?分かっているつもりになっていたけど、イメージががらりと変わった。スラーや休符の感覚を何度も練習し、平面的な表現から立体的に変わった。“スイーツのように甘い夢の人生”を表現するには、まず音色を軽やかにして、正確にゆっくりと指示通りに吹くように、指導された。シュミット先生は、ウィーン国立音大でR・Jettel氏に師事された。現在は指揮者、作曲家で又、ルガンスク音楽大学の教授として指導をされている。先生の使用楽器は、叔父様のR.Jettel氏のエラー式クラリネットだった。「クラリネット奏者は皆、家族なんですよ」と、励まして戴いた。芸術家としての、年輪を感じた。

ウィーン国立音楽大学レッスンの様子

♪2nd レッスン(8/31)

曲は、W.A.モーツァルト、クラリネット協奏曲イ長調KV622全楽章。
 本日夜に近郊のミュンヘンドルフ教会で「参加者コンサート」に出演する為に、スタジオC(学内コンクールの会場)でレッスンして頂いた。温かい音色がよく響いて、とても気持ちが良かった。コンサートでの演奏曲は1楽章を5分以内に短くした。丁寧に正確に表現し、コンサートで成功する為だった。私はアルペジオのスラーの部分のブレスが続かなかったので、シュミット先生に何回も横で吹いていただいた。明るくて、とても太い音色。1,2,3、にも「Langsam」確実に!そしてインテンポで軽やかに、が約束だった。2,3楽章もロマンチックに吹かないように古典曲の特徴を強調された。基礎力と集中力が試される曲である。伴奏合わせの時に大切なことは、遅くならないようオーケストラの音をよく聞いて、伴奏が動かない時は自由に表現するように言われた。

♪3rdレッスン(9/3)

曲は、J.ブラームス作曲、クラリネット五重奏曲 1,2楽章。
 第1主題を聞いてP(ピアノ)やフレーズの吹き始めが小さすぎるので、はっきりと自分の意思を伝えるように立体的に演奏するように言われた。曲想を考えて、スラーの部分は平らに美しく吹けるように練習を何回もするように指導された。「Quintet」で大切なことはメンバーに自分の意思を見せることで、お互いに聞きあってロマンティッシュを楽しむことを教えていただいた。モーツァルトやメンデルスゾーンが使用した、バセット・ホルンはF管で、奏法が難しいので普及しなかったらしい。バセット・クラリネットはA管で、モーツァルトの協奏曲などを演奏する為に、A.シュタードラーが改良し演奏された。リードについては、初心者で調整に困っている方や、湿気などで困るときにはプラスティックのリードを薦められていた。安定した、柔らかい音が良く響いた。

♪4thレッスン(9/5)

マスタークラス ミュンヘンドルフ教会の写真

曲は、同じくJ.ブラームス、クラリネット五重奏曲1楽章とマルティヌー作曲、ソナチネ。
 翌日6日の「参加者コンサート」では、ブラームスの五重奏曲、1楽章を演奏することになった。主題はmfではっきり浮き上がるように吹けるようになり、良くなった。テンポ感が、時々フレーズの終わりにゆっくり過ぎる、ようだった。伴奏にも気を遣って正確な Tempoで吹くことが大切、と言われた。ピアノ伴奏と合うようになると集中力が増した。本番でも、パワー全開で吹ききることと、集中力が大事だと思った。ウィーンの伝統曲を日本へ持ち帰って楽しんで欲しいと、先生はおっしゃった。どの場所で演奏しても、天国で歌っているかの如く、よく響いて気持ちがいいのは建物の造りが木管楽器に適しているし、日本と気候の質が全く違うことが分かった。

プライベートレッスン(9/5~9/13)

ヨハン・ハンス・ヒンドラー教授
♪1stレッスン(9/5)14時~15:30
ヒンドラー先生は、大分市の音楽関係者の知人からウィーンフィルハーモニー管弦楽団のコンサートマイスター、ライナー・ホーネック氏へ取り次いでいただきご紹介して頂いた。
この日は初対面にもかかわらず、演奏を聞いて優しく楽しく基本的な事までご指導して頂いた。コレペティートアの方に伴奏をお願いした。

ヒンドラー先生は、ウィーン国立音楽大学でPeter Schmidl氏に師事され、最優秀の成績で卒業された。1976年、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団に首席奏者として入団。1990年よりウィーン国立音大の教授として指導に当たっておられる。ダニエル・オッテンザマー兄弟やマティアス・ショルンなどの門下生を持っている。
レッスン曲は、W.A.モーツァルト クラリネット協奏曲イ長調 KV622 1楽章。ピアノ伴奏に合わせて、第1主題まで吹いた。「フレーズの頭をもっと強く、アンブシュアの準備をもっと早くするんだ!」と言われた。意思をもっと積極的に伝えて、演奏を楽しむことを教えられた気がした。演奏する隣で一緒に歌を歌いながら、ウィーン伝統のモーツァルトを歌伝えでご指導された。

♪2ndレッスン(9/10)

今回は、伴奏をつけずレッスンをお願いした。ヒンドラー先生と、「ウィーンにはいつ頃までいるのですか?」「ウィーンフィルは聞きましたか?」など話ができた。
先生は、カラッとした陽気で優しい気さくな感じの素敵な奏者だと思う。曲はモーツァルトの協奏曲イ長調を全楽章演奏した。大切なのはTempoで「Wind・・」と繰り返し言われた。「風が自然に流れるように呼吸を意識して、滑らかで繊細なヴァイオリンのように表現できるように常に考えて!」―。ストラディバリウスを連想させた。技術面については、オーケストラとの協奏ではもっと大きな音で、指に意識を持たせないで腰の周りに深くブレスを入れて腹筋を抉るようにクラリネットに息を吹き込んで演奏できるように何回も練習した。装飾音符の奏で方や、本来演奏するバセットクラリネット風の音型も教えていただいた。威厳を放って堂々と演奏するように。華やかな奏者になったような夢の時間を過ごした。

プライベートレッスン イン ドイツライプチヒ(9/14~9/27)

アンドレアス・レーネルト氏
♪1stレッスン(9/18)14時~15:30
レーネルト先生は、現在民間のオーケストラでは最古と言われる、ゲバントハウス管弦楽団の首席奏者である。演奏会の時に、指揮者のプロムシュタット氏がこのメンバーはそれぞれ、400人の中から選ばれたメンバーです、と解説をされていた。今回は運よく、ライプツィヒに在住しているオーボエ奏者の友人夫妻に紹介をしていただいた。オーケストラアカデミーでもご指導されている。
1曲目、J.S.バッハ作曲、カンタータ147番より「主よ、人の望みの喜びを」
良くスラーを効かせてテンポが止まらないように気をつけること。次へのスラーの部分に楽しみを見出して吹くこと。全体にオルガンのように平均した奏法で歌い上げるように言われた。ブレスをとる音が、音楽を邪魔しないようにすること。先生はパーマネントブレス(循環呼吸)で、この曲を吹いて聞かせてくれた。最高の上質なベルベットのような、エラー管の音色だった。
2曲目、C.シュターミッツ作曲(1746-1801)、クラリネット協奏曲変ロ長調 3番
1楽章。第1主題の始めの方まで吹くと、レーネルト先生はいったん止めた。曲想は一度演奏してみて良く考えること、と言われた。単調に吹かないように、ブレスをしっかり調整し楽しみを聞いている人に伝えるように工夫をすること。この曲は、マンハイム楽派の楽曲で、よく工夫されているとイメージのお話をされた。他のレッスンと幾つか同じことを感じたようだった。スラーは虹のように楽しみを乗せて吹くこと、そしてオーケストラの細部にも気をつけて、よく聞くこと!とてもいろいろな知識が豊富で、「ゲバントハウスのコンサートはどうでしたか?」など私の話もよく聞いていただき本当に“ワクワク”とする楽しいレッスンだった!!

こんな練習がいいですよ

♪2ndレッスン (9/26)15時~16:30

1曲目、W.A.モーツァルト、クラリネット協奏曲イ長調 K.V.622 1楽章。
いつもの雑談で始まった。「ベルリンフィルハーモニーのコンサートはどうでしたか?」ゲバントハウスでのレッスンには、友人も同席してくれたので素晴らしく同時通訳のレッスンを受けられた。通訳により、だいぶレッスン内容は変わると思う。
1楽章は、展開部前までを演奏した。そして先生もこの楽章を、厚みのある柔らかい、美しい軽やかな音色でたくさん吹いてくれた。古典曲は、スラーやカデンツ、またトリルなど奏法が決まっているので変わらないように美しく吹いて欲しい、とおっしゃった。ウィーンの時と同じく、長い音になると音の押し癖があるから、>(デクレッシェンド)で感情をコントロールするように言われた。全体的に曲調に合わせて不自然な吹き方にしないよう、ロボットのような単調な声ではなくもっと深く感じて表現することが大切だと指導された。
2曲目、G.マーラー、交響曲第2番「復活」1楽章~3楽章。
先生は、この曲もとても好まれていたようだった。エスクラリネットのソロ部分を聞いていただき、ユーモアたっぷりの曲想をどう表現するか、何回も練習し、技術などについても細かく、厳しく教えていただいた。明日帰国することを告げると、「良いリードと出逢いがあるように、そしてたくさんクラリネットの楽しみがありますように。」と楽譜に記してくれた。
参考に、ゲバントハウス管弦楽団演奏の「復活」DVDをベストナンバーとしてお薦めされた。これまでのレッスンすべては、日本でも貴重な指導の参考となるだろう。

ドイツ・ライプツィヒ小さな散歩

ライプツィヒには、文学や印刷芸術、ポルシェの自動車工場、そして音楽文化にゆかりのある場所がたくさんある。
この研修では特に古典音楽について研究する縁があったので、まずバセットホルンを探すためグラッシィ博物館へ行った。
かなりたくさんの古楽器が集められていた。ライプツィヒ大学が研究を行っている。バセットホルンも見つかってかなりの時間眺めて楽しかった。他の古楽器の演奏を3Dサウンドシステムで聞くことができた。バセットホルンの演奏はなかった。この楽器はかなり演奏するのが難しいので普及はあまりしなかったらしい。

所感

今回の研究テーマのひとつについては、オーストリアとドイツのクラリネットの古典派楽曲について、プライベートレッスンを受け、研究するということだった。その中でじかにエラー式クラリネットの質感の高い、軽やかで個性のある音色を聞いてさらに豊かな表現を工夫できるようになりたいと感じた。
モーツァルトや他の古典楽曲の奏法は、高い質感や安定感が求められる為、曲想の確認をしながら自分のくせを直したいと思った。世界一流といわれるオーケストラをいくつか鑑賞し、迫力や質感、文学、思想、統一感や際立った独奏の美しさなど様々な知識がまだ自分には足りないと感じた。
素敵な先生方と友にめぐり逢えたことが宝で、教会コンサートなどの経験は舞台の貴重な研鑽となった。クラリネットを演奏することは、心であり、愛情と気迫である!一生涯忘れない研修となった。

平成29年度実施実績

  • 研修者名:首藤 玲奈
  • 期 間:平成29年5月9日~6月5日(28日)
  • 滞 在 国:ドイツ(ミュンヘン)
  • 推薦団体:アトリエ弾
  • 研修内容:ドイツ語歌唱の研修と技術習得
  • 研修報告:

海外派遣事業研修を終えて

5月の初旬、快晴のミュンヘン空港に降り立った。ミュンヘンはこれまで数回訪れた事があったが、5月に来たのは初めてで、日本と違う湿気のないカラッとした風と、何とも言えない欧州の初夏の日差しを浴びて、これから一か月の研修に胸が躍った。

 日照時間が短く、暗く寒い冬から解放された欧州の人々の春の訪れへの喜び方は、日本人には少し奇妙に映ることがある。遺伝子に「とにかく冬が終わったら外で太陽を浴びよ」と組み込まれているかの様に公園の至る所で老若男女、上半身裸体(時には全裸の人も)でゴロゴロと数時間もシートや芝生の上で読書をしたりしながら寝転がっている。

 飲食店も同様で、外のテラス席は満席でも屋内の席はテラスが満席だった為に仕方なく座っている数人だけだった。ドイツ人にとっての暖かい季節というのは、あまりにも暗く寒い冬から解放された喜びが内側から湧き出るものなのだろう。ドイツ歌曲に春への喜びを語る曲が非常に多く、その殆どが軽快で階段を軽やかに駆け上る様な曲調になっていることがうなずけた。

 さて、ミュンヘンでは、ほぼ毎日、2人の素晴らしい師匠の元、大変充実したレッスンを受ける事が出来た。1人は日本人の先生で、ミュンヘン音大でコレペティ(声楽家に伴奏を付けながら指導をするピアニスト)として教鞭を取っている浦野留女さん。非常にストイックな面も持ち合わせつつ、丁寧で的確な指導で、数々の名歌手の伴奏をされた実績を元に、私のレパートリーなど細かく提案してくださった。「声のポイントを針の様に細く、階段を登るように、必ず音程は上から丁寧に、そして声は出すという意識より、貴女の場合は降ってくると考えた方が良い」など、多くの技術的なスランプを解決しようとしていた私に、かなり画期的なアドバイスとなった。

 もう一人のマルガ先生はドイツ人で、ザルツブルグ音大で長く教鞭を取られていた方で、出会ってすぐに「貴女の一番好きな歌を聴かせて、試験ではないのよ!」と、チャーミングな笑顔で言い、曲が終わると「貴女には持って生まれた美声という天からのギフトを持っている。貴女は本当に祝福されているわ」と、恥ずかしくなるほど褒めてくださった後、すぐに真面目な顔で「でも、貴女はそのギフトを自分で信じていないでしょう?」と仰った。先生はそれからも私が上手くいかなくて止まってしまうと「玲奈、自分の声を信じなさい、自分の歌をもっと信じなさい」と何度も仰った。さらに「良い歌い手の顔というのは、目、口、鼻に笑みを。そして顎は絶対的に解放されていなければいけないの」と言いながら、実際に出してくれた先生の声は本当にエレガントで素晴らしかった。

 そんな中、嬉しい出来事があった。レッスン中に一人の女性が飛び込んできて、興奮した様子で「なんて美しい声なの!?素晴らしいわ!私は一瞬であなたのファンになったわ!こんな事初めてよ!普段はどこで歌ってるの?名前は?」と、私を質問攻めにしたのだ。その方は結婚を機に歌い手を引退した元歌手の方らしく、マルガ先生の友人でもあり、そのまま聴講したいとの事で、最後まで聞いて、少しアドバイスまでしてくれた。発声の見直しを最大の目的と考えていた今回の研修の大変励みになった。

 日本に何度も訪れた事があるドイツ人の友人は、ミュンヘンの事を「ドイツの京都」と表現した。古き良き建物をそのままに、古い文化を大切にしながらも、自分たちの昔から続く生活スタイルは頑なに変えないところが似ているそうだ。

レッスンをするスタジオの道を挟んだ向かいに、バイエルン王ルートヴィヒ2世が眠る聖ミヒャエル教会があり、ルネサンス様式に影響された荘厳で華麗ながら不思議と落ち着く場所で、しばしばレッスンの後にしばしば何も考えずに座っていた。レッスンで通ったミュンヘン音楽大学は、かつてのヒトラーのミュンヘン総領事館の跡地で、かのミュンヘン会議が行われた場所でヒトラー用の逃げ道や会議室などはそのままになっているそうだ(立ち入り禁止)また、自然豊かなドイツには、そこかしこに公園や森や川、湖があり、こういう中で様々な曲が生まれたのだと、改めて実感することができた。

 研修の時期はちょうどオペラ開幕の時期。住んでいたアパートから数駅の所にあった世界トップクラスの歌劇場【バイエルン州立歌劇場】で、「タンホイザー」「蝶々夫人」「ナブッコ」「ウィリアム・テル」「チェネレントラ」等、格安の料金で見ることができ、世界的ソプラノ歌手のディアナ・ダムラウ、世界的ピアニストのアンドラーシュ・シフのリサイタルを聴くチャンスにも恵まれた。

 一か月という短期ではあったが、ここには書き尽くせない様々な体験ができ、私の音楽家としての大きな転機になったことは間違いない。今までよりもっと、音楽を身近に感じることが出来るようになった一か月でもあった。

 このような貴重な機会を与えてくださった芸術振興会の方々に深く感謝を申し上げると共に、この素晴らしい制度で、今後も益々、大分県の若手芸術家が世界に羽ばたくチャンスを得る事を願っている。

平成28年度実施実績

  • 研修者名:佐藤 香名
  • 期 間:平成29年1月28日~3月31日
  • 滞 在 国:イギリス(ロンドン)
  • 推薦団体:おおいた洋舞踊連盟
  • 研修内容:バレエの基礎の見直しとレッスンの流れの研究及び表現方法の研究
  • 研修報告:
    ロンドンは、質の良い芸術を身近に感じることの出来る街でした。ロイヤルオペラハウスでの舞台鑑賞は座席によっては手軽な価格で観ることが出来るので、芸術を観たり感じたりする事はロンドナーにとっては敷居の高いものではなく、生活に馴染んだものなのだと感じました。
  • 研修内容:

dance worksでのレッスン受講

約20名のクラシックバレエの先生がいらっしゃるdance worksでレッスンを受けました。
1週目はクラス選びの為に全ての先生のクラスを受けるようにし、2週目以降は自分に合ったクラスを、1日2~3クラス(1クラス1時間半)受講しました。

クラスは、ビギナーからプロまで様々なレベルに対応したクラスがありました。研修目的として、踊る上での技術・表現力の向上はもちろんの事、そのための基礎レッスンの見つめ直し、指導のためのレベルに合わせたレッスン構成方法なども学びたかったので、全てのレベルでレッスンを受けるようにしました。

バレエは、毎回バーでの基礎レッスンから始まりますが、その基礎を毎回地道に丁寧に行っていくことの大切さを再認識しました。

バレエ舞台の観賞

 プロの舞台を6回観る事が出来ました。 ロイヤルオペラハウスでのロイヤルバレエ団の「WOOLF WORKS」と「眠れる森の美女(全幕)」観ました。「眠れる森の美女」は渡航前にインターネットで3公演分のチケットを用意しました。最初は「同じ物語ばかり3回も飽きてしまいそうかな」と思いましたが、3回の公演では主役を含む主要キャストがすべて違いました。演じるダンサーによって役の捉え方が違い、3公演とも同じ物語なのに違うように観えました。最後には「もう1公演観たい」と思い、違うキャストでの公演を観る事が出来ました。 バーミンガム・ロイヤルバレエ団では「シンデレラ」を観ました。主役の方はもちろん、全てのダンサーがそれぞれの役を良く演じていて、装置も照明も立体的で素晴しく、心がとても動かされる舞台でした。

 他にも、レッスンの合間に大英博物館・ナショナルギャラリー・ヴィクトリア&アルバート博物館など、沢山の博物館を訪れました。入口などで寄付を募っていましたが、基本的には入場無料で、気軽に芸術鑑賞が出来る環境が整っていました。沢山の素晴しい絵画が綺麗な状態で残されており、何百年前に造り出された物が目の前で観賞出来ている事にとても不思議な感覚になりました。中でもヨーロッパでの貴族などが描かれている絵画は、着ている服の色彩・いろんな表情・身体や顔の角度などが、バレエの古典作品を踊る上でもとても勉強になりました。

 今回の研修で感じたことは、バレエは「踊り」「音楽」「舞台装置」「照明」など、全てが合わさった総合芸術だという事です。私の先生である笠木啓子先生から、よく「バレエは総合芸術である」とお聞きしていましたが、今回身をもって感じる事が出来ました。 プロの舞台を短期間に複数回観ることは初めての経験でしたが、主役だけ良くてもいい舞台とは感じれず、それぞれの役をそれぞれが生き生きと演じ、素晴しい音楽を感じて踊り、色彩の綺麗な舞台装置や衣装・照明など沢山の人々が一つの舞台に思いを込めているからこそ、感動する舞台が生まれるのだと感じました。 dance worksではピアノ伴奏でのレッスンでしたが、その伴奏して下さる方はレッスンをしている先生の感性を読み取って演奏をして下さる方で、先生も「こんな素晴らしい演奏をして下さっているのだからこの音楽に乗らないと失礼よ!」とおっしゃっていたのが印象的でしたし、音楽を感じながら体を動かす事はとても心地よく、こんなにも楽しいことなのかと再認識しました。とくにプロのダンサーは、音楽の一音一音を忠実に体現していて「音楽を感じながら踊ること」を間近に観る事が出来、良い経験になりました。

 この研修で感じ取った事は自分のこれからのレッスンに繋げていき、また生徒にも伝える事が出来ればと思います。

平成27年度実施実績

  • 研修者名:小村 朋代
  • 期 間:平成28年2月1日〜3月1日
  • 滞在国:イギリス(ロンドン)
  • 推薦団体:大分二期会
  • 研修目的:オペラの表現方法の研究
  • 報 告:
     この度の研修で滞在したロンドンはエンターテインメントの街で、その規模や質も日本とは桁違いでした。風土や国民性に合った文化が培われ、お目の高い観客に求められ、そこからまた更なるものが生み出されてきたのだろうと実感する日々でした。こんなにもイギリスの作曲家クイルターの作品が、画家のターナーやコスタブルの作品が空気に溶け込み、身体に馴染むと感じる日が来るとは思っていませんでした。研修期間中は充実していたため、一か月間でしたが、長かったような短かったような不思議な時を過ごしました。
  • 研修内容:

≪ジョナサン・パップ氏 レッスン≫

以前ご縁のあったジョナサン・パップ氏のレッスンを受けました。パップ氏はロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックにてヴォーカル・コーチとして指導にあたる他、ロイヤル・オペラ・ハウスのオペラ公演にてコレペティとしても活躍されている方です。研修中、毎回一時間のレッスンを週三回受けました。指導はとても細やかで、的確でした。

第一週目 歌劇「椿姫」全幕

音楽的なニュアンスにはほぼ触れられず、身体の使い方、息の流し方を使ってのフレーズ作り、喉のリラックスを中心に指導を受ける。自分の声で、シンプルに歌うことだけに集中し、これまでに付いていた余計なものを解きほぐされるようだった。

第二週目 歌劇「椿姫」全幕

二週目にしてヴィオレッタという役からの音作りという作業を進められた。母音の流し方、フレーズをつなげる為に子音を利用する方法、そして高音での言葉のさばき方まで。ヴェルディというと派手なオーケストレーションをもって演奏するイメージが強いが、単純な感情によって紡がれるフレーズの中に美しさを発見し、自分なりの解釈によって演奏する喜びを感じた。

第三週目 ロジャー・クイルター「三つのシェイクスピア歌曲」

イギリスの作曲家であるクイルターの作品を学ぶ。二週目まではイタリア語の指導だったので英語へと言葉が変わり、また一から言語の指導を受けた。ここまでの二週間の間にイギリス人の生活、歴史を積極的に感じていたので、日本で勉強していた時とは違う新しい感覚でパップ氏とのセッションをする事が出来た。冒頭にも書いたが、こんなにもクイルターの作品が自分の身体に馴染むとは思わなかった。

第四週目 オラトリオ「メサイア」・イングランド民謡

学生の頃から愛唱している「メサイア」をレッスンしていただいた。言葉やフレーズの繋ぎかたについては勿論のこと、彼のお父様がチェリストでロストロ・ポーヴィチの弟子であり、親子での演奏の機会も多いことから、フレーズ内でのアクセントの置き方や装飾のヴァリエーションまで、器楽奏者の視点からのアドヴァイスも今まで以上にいただいた。民謡に関しては今回の研修の最初に戻り、シンプルに音と言葉を紡いでいくことに集中した。余計なことはせず、感情が動いたことで言葉が発せられ、音楽の流れの中で弦一本の線を均等な力でレガートに弾くイメージを持って言葉と音を乗せていった。

レッスンを終え、シンプルな美しさというものに、今まで以上に魅力を感じるようになりました。全ての音をクリアに。そしてダイナミズムの中であっても自分の声でシンプルに歌うことの大変さ、それと共にその美しさを追求していく覚悟を持つ事が出来た、素晴らしい機会をいただきました。

≪トーマス・アレン氏マスタークラス聴講≫

パップ氏の計らいを受け、ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック内で行われた、サーの称号を持つ世界的バリトン歌手トーマス・アレン氏のマスタークラスを聴講。高齢にも関わらす、三時間ノンストップのエネルギッシュなレッスン。選ばれたメゾ・ソプラノ、バリトンら低声部の生徒6名が参加。アレン氏はどの生徒、どの曲に対しても受講生と同じ様に音楽を感じ、ピアニストも含めた世界観の徹底を求めていた。出身国もタイプも違う生徒ひとり一人に合わせて、音楽という観点から、言葉から、演技の面からと様々な方向からのアプローチ方法を提案していた。そんな中でも、彼が一番大切にしているのは「歌うことはお客様とコミュニーケーションをとる事だ」ということ。ステージからだけの一方的な発信になっていないか、そうならない様にと全員に対して何度も指摘していたのが印象的だった。

≪チューダー朝の歴史≫

修士論文がエリザベス一世の従兄であるメアリー・スチュアートに関するものだった事もあり、レッスン以外の時間はチューダー朝時代に関係する場所を巡った。アン・ブーリンが幽閉され処刑されたロンドン塔、生涯一度も会うことのなかったエリザベス一世とメアリー・スチュアートが共に眠るウエストミンスター寺院(この寺院にはニュートン、ダーウィン、シェイクスピア、ヘンデルなどイギリスを代表する方々のお墓がある)、これらチューダー朝時代の王家の肖像画が見られるナショナル・ポートレイト・ギャラリーなど。また、ロンドンからスコットランド・エジンバラへ移動し、メアリーに所縁のあるスターリング城、エジンバラ城、ホリールドハウス宮殿へ。戦いの歴史が建物から伝わってくる二つのお城も印象的だったが、現在でもエリザベス女王が夏の期間を過ごされるというホリールドハウス宮殿が好みだった。かつてメアリーが暮らした部屋、窓から建物内の教会に向けてお祈りしていたという場所、史実通り真っ白になっていた髪。リッチオがメアリーの目の前で殺されたという部屋。文字の中でしか知ることの出来なかったメアリーをとても近くに感じられた貴重な機会となった。

≪劇場・美術館≫

ロンドンでは毎晩、オペラを始めオーケストラ、バレエ、ミュージカル、演劇などの様々な公演が行われており、私も色々と観たが、その公演全てがほぼ満員だった。特に衝撃だったのは「トスカ」「椿姫」「プッチーニの三部作」と足を運んだロイヤル・オペラ・ハウスの公演が三度とも満席だったこと。隣席した方にお話を伺ったり、周りの様子を見ていて感じたのは、イギリスでは文化は上流階級の人間のものだけではなく、全ての国民のものだと考えられているということ。そして、文化というものが国力を最大限に示すものであり、教育には必須だとも。それによりイギリス人は幼い頃から劇場へ行く習慣が培われるだけでなく、観光客向けの集客のシステムも現在の様に整えられてきたのだと思われる。美術館においても特別展示以外は無料たったのも印象的だった。欧米は寄付の文化で、一定以上の恵まれた階級の人間は社会に対して還元すべきという教育がされており、それにより文化が支えられている部分が大きいので、日本がそのまま参考にできない環境の違いがある。しかしながら、日本は文化を大切にすることがなかなか当たり前にならないことを悲しく思った。観客が求めるものに耳を傾け過ぎず、むしろ牽引するくらいが丁度いいのかもしれない。

<平成26年度実施実績>

  • 研修者名:森 貴也
  • 期 間:平成27年3月5日〜3月30日
  • 滞在国:アメリカ
  • 推薦団体:行動大分作家協会
  • 研修目的:日本人の目から見た今日のアメリカの美術事情の研究
  • 報 告:

研修先はアメリカのニューヨーク。到着日は寒波で初日から豪雪による極寒の洗礼を受けた。

美術館やギャラリーはとにかく沢山見てまわったが、特に印象に残っているのはまず世界三大アートフェアの一つ、アーモリーショー(国際近代美術展)。ウエストサイドにあるのハドソン川沿いの倉庫には世界各国のギャラリーが出展。4日間限定のイベントだけあって、会場は人で溢れていた。

それからニューヨーク郊外にあるディア・ビーコン。ナビスコの旧パッケージ印刷工場を利用した美術館はとても広くて、そこにリチャードセラやヨーゼフ・ボイスらの作品が贅沢に展示されていた。作品の規模が大きくて見応え十分だった。

滞在中盤には石彫家ヒラツカケンさんと出合い、アトリエ訪問させて頂いた。ケンさんのアトリエはマンハッタンからバスで4時間かかるマーガレットヒルという山奥にあり、のどかな田舎の風景が広がっていた。広大な土地にはケンさんの石彫作品が幾つも設置されていた。将来この土地を彫刻公園にしたいそうだ。一泊させてもらい、現地で石彫作品を1展制作した。午前0時に電動工具を使っていてもクレームがこないのが羨ましい。アトリエ訪問した時期が、ニューヨーク滞在折り返し時期でもあったからか、美術館やギャラリーをたくさんまわって刺激を受けてはいたが、石を彫っている時間のほうが楽しく、やはり私は作る側の人間なんだと自覚した。短時間だったが何とか形は完成したので、残りの磨き作業は帰国後の宿題になった。

宿泊場所の近くには彫刻家故、佐々木敏雄氏の佐々木スタジオがあった。彼は元愛知県立芸術大学の教授で、現在、スペースは夫人の美緒さんが管理し、美大出身作家のレジデンススペースになっている。同世代の作家と知り合うことが出来て、良い刺激になった。

約一ヶ月、充実した時間を過ごすことが出来た。幾つかコネクションも出来たので、次に行くときにはもっと長い期間滞在し、制作と展覧会をやりたいと思う。

<平成25年度実施実績>

  • 研修者名:田島安有美
  • 期 間:平成25年7月14日~7月27日
  • 滞在国:スイス
  • 推薦団体:おおいたオペラカンパニー
  • 研修目的:より良い発声方法の習得及び表現方法の研究
  • 報 告:

今回、始めて海外のマスタークラスへ参加してみて、ヨーロッパの同年代の人との交流はとても新鮮で日本にいるだけでは分からない事をたくさん学び、いつも考えないような視点から自分自身と向き合うとても良い時間になったと思います。

何より、毎日レッスンがあるという環境はとてもよく、その日レッスンで終わった事をその日中に復習し、次の日のレッスンで本当に合っているか確かめる事が出来ましたし、復習の際、間違っていたとしても、次の日のレッスンで修正して頂けたので、間違ったまま進む事がありませんでした。

また、他のクラスメイトのレッスンも毎日聴講することで、基本何度も繰り返し聞く事となり、1度言われただけでは中々理解できないが確実に消化・吸収出来たと思います。

スイスでは、地元の人や観光客の集まるような公共の場所での演奏活動をよく目にしました。私が参加した講習会でも学生によるコンサートは屋外で行われるものが多く、歌クラスのコンサートも屋外でした。屋外で歌う事は私にとって始めての経験だったので、きちんと声がとばせるか等色々心配でしたが、リハーサルをしてそんな心配は無くなりました。屋外ステージはホールとは違い、目の前に壁があり、窓があり、通路があり、ステージと客席空間が1つになり、そこにいるお客様が応援してくれているような、そんなあたたかい感覚がありました。壁・天井のないコンサートって素敵だなと心から思いました。

また、後に訪れたイタリアでも、世界遺産である会場に特設ステージを作った野外劇場でのオペラ公演で、ビールを飲んだり、つまみながら鑑賞している人に囲まれて、自由で、ずっとリラックスした雰囲気を味わいました。こんな風にどんな人の耳にも入る場所で演奏するという事は、クラシック音楽に興味のない人に触れてもらう機会としてとても大切な事で、そうする事によって始めて興味を持ってもらえるのではないかと強く思いました。

今はまだ何からスタートしていいのか分かりませんが、これからゆっくり自分に出来る事を探していきたいと思います。

<平成24年度実施実績>

  • 研修者名:後藤 沙織
  • 期 間:平成24年10月22日~1月23日
  • 滞在国:オーストリア
  • 推薦団体:グループUNO
  • 研修目的:ベーム式、エーラー式クラリネットの様式の違いの研究と音色の追及
  • 報 告:

今回、ウィーンで勉強するにあたっての私の課題は、演奏テクニックなどを含めた基礎的なことももちろんですが、人に魅せる表現力の研究という事も常に念頭に置き、ウィーンフィルの首席奏者 エルンスト・オッテンザマーと彼のお弟子さんでもあるヴィンフリート・アイヒナーの両氏に細やかなレッスンをして頂きました。

両氏それぞれの一番最初のレッスンで、用意して行った曲を吹いた後、まず言われたのは「Langweilig!(ラングヴァイリヒ)」という言葉。日本語で「退屈だ!」という意味です。ただの音階であっても常に聴衆を意識した演奏をしなさい。と教わりました。

音楽は特定の言葉では表せませんので、同じ曲でも奏者が10人いれば、文字通り十人十色で10通りの演奏が存在するわけです。
しかし、表現力の有無というのはそれ以前の問題であり、まず自分の中にしっかりとしたイメージがないと聴く側には全く伝わりません。
イメージがあったとしても表現が控えめだと伝わりにくいでしょう。それが、最初のレッスンでの「退屈だ!」という言葉になったのです。

それからのクラリネットとの時間は「自分の殻を破る作業」という感覚でした。
吸収できているのかは自分ではまだよく分かりませんが、ウィーンでの時間は大切な経験として確実に私の中に刻まれていると信じ、これからの演奏に活かしていきたいです。(海外研修報告書-研修を終えて-より抜粋)

<平成22年度実施実績>

  • 期 間:平成22年8月30日~11月29日
  • 研修者名:市原 由美
  • 研修地:フランス
  • 推薦者:大分県美術協会
  • 研修目的:古典から現代までのフランス絵画の色彩研究
  • 報 告:

今回の研修では古典から現代まで多くの作品を見る機会に恵まれ、歴史として知ってはいたが本当にさまざまな表現方法があるのだとあらためて実感し、今までの自分の凝り固まった美術に対する考えがゆっくりち解けていくのを感じた。

美術館や教会に入れば、そこはある時代がそのまま止まっているかのような感覚に襲われ、作品を通してその時代が語りかけてくる不思議な感覚を味わった。

こうしてさまざまな表現を見ていくうちに私が感じたことは、作品のスタイルよりもその裏側に表現しようとしているものの方が大切で、スタイルが自由になっても失うことのないものを持っていなくてはならないのではないかということだ。

見えるところばかりが重要ではなく、むしろ見えない部分において強い力を持っていることが重要なのではないかと思った。(大分合同新聞H23.2.17付夕刊より抜粋)

<平成21年度実施実績>

  • 研修者名:廣岡 茂樹
  • 期 間:平成21年10月5日~10月25日
  • 研修地:イタリア(ローマ、フィレンツェ)
  • 推薦者:新潮流の会
  • 研修目的:具象絵画とその展示(設置)方法の研修
  • 報 告:

滞在中は交通機関をあまり利用せず、町中をひたすら歩きました。至る所で本物に出合い、圧倒されました。膨大な時間と材料、そして技術を駆使した作品が山ほどあり、間近で見られるのです。

念願かなってシスティーナ礼拝堂を訪れ、ミケランジェロの壁画を見たときも同じです。ほとんど狂気に近い仕事の量に打ちのめされました。しかし、何よりも心に迫るものがあったのは、その一つ一つの仕事に刻まれた情熱でした。

芸術(絵画や彫刻)の世界において重要なのは「最新」や「先端」ではないのだと実感しました。昔の人々の心の目はとても豊かです。500年たったからといって現代人の目が進化しているとは思えません。

芸術はシンプルな作業ですから、カッコウつけたら、いずれはばれると思いました。石畳の町を歩き、巨匠たちの仕事ぶりを見詰めながら、私は制作への気持ちがよりシンプルになった気がしています。(大分合同新聞H21.11.30朝刊より抜粋)

<平成20年度実施実績>

  • 研修者名:緑川 羽菜
  • 期 間:平成20年6月16日~9月15日
  • 研修地:ベルギー
  • 推薦者:大分演奏家協会
  • 研修目的:ピアノ演奏の個人レッスン、及びディナン国際音楽院でのセミナー受講
  • 報 告:

22時間にわたるレッスンの中であらかじめ用意してきた約1時間分のプログラムにご指導を頂いた。これだけのプログラムを一度に持つ経験は今までにないことだったのでとても良い経験になった。

レッスンの中で、音楽の流れの作り方・音の響かせ方・腕の脱力などたくさんのことをご指導いただいた。ディナン国際音楽院のセミナーでは様々な楽器・年齢層の演奏者たちが著名な音楽家のレッスンを受けるために集まり、一週間浸食を共にした。

校舎内ではいつも誰かが練習している音が絶えることなく、大変刺激の多い一週間となった。今までとは違った環境で学んでみたことで違う目線で自分を見つめるという経験もでき、その分また新たな課題を見つけることができ、とても有意義な時間を過すことができた。(海外研修報告書より)

<平成19年度実施実績>

研修者なし

<平成18年度実施実績>

  • 研修者名:三宮一将(34歳)
  • 期 間:平成18年6月4日〜8月23日
  • 研修地:イタリア・ドイツ・オランダ・チェコ・フランス・スイス
  • 推薦者:新潮流の会 代表 山崎哲一郎
  • 研修目的:ヨーロッパにおける絵画、彫刻、建築など総合的な芸術、及び現代的な芸術表現の研修
  • 帰国後の活動:06新潮流展(11/28〜12/3)、三宮一将展(2007/2/9〜2/28)大分県立芸術会館、長湯歴史温泉伝承館
  • 報 告:

ヨーロッパの幾つかの国とわずかな都市と美術館、博物館、教会などを中心に、古典から現代までの芸術を観て回った。イタリアでは3枚の油絵を描き、ドイツでは6枚描いた。しかしながらその土地の人たちとの交流の中で、たった1枚の絵を持って帰ることしかできなかった。

何千だか何万だかの芸術作品に触れたが、完璧に優れた1作品を選び出すことは困難な作業ではなかった。今後の自身の制作には、沢山の素晴らしい街や芸術作品から感じたり学んだりしたことによって自分自身の中から新たに発生する感覚と、その関連性の中から描き創りだして行こうと思う。

これもまた当然のことながら、どこにもこれまでの私の作品と同じものはなかったということが将来の制作へのひとつの展望であるように思っている。(海外研修報告書-研修を終えて-より抜粋)